義弟の十八番

明日9月4日は、私こと婆ダムA子の主人の命日でございます。

亡くなって5年になりますが、ちょうど同じ日の13年前に
主人の弟も亡くなりまして、仲の良い兄弟でしたが、何も命日まで同じでなくてもと
葬儀の席で親戚同士、しみじみと語り合ったものでございました。

その義弟、生前は隣り街に住んでおりまして
盆暮れにはいつも、兄弟で夜通し酒を飲み明かすのを楽しみに、我が家へとやって参りました。

そして義弟には、飲むほどに酔うほどに必ず飛び出す話がございまして…。
今日は、その義弟の十八番(おはこ)の話でございます。

義弟が定年を迎えた頃のこと。
愛車の軽自動車に乗って、国道を走っている時
前を行くダンプカーを、何とはなしに追い越したのだとか。

追い越した後は、ダンプカーのすぐ前を走る格好になったわけですが
しばらくすると、そのダンプカーにクラクションを鳴らされるやら、ライトを点滅されるやら。
ボロ車に追い越されたことに、よほどご立腹なのかと
バックミラー越しにダンプの運転席を見ると、なかなか怖そうなお兄さんだったようでして…。

これ以上、刺激してはいけないと、国道を離れて路地裏へ入ったそうなのですが
そのダンプカー、あろうことか、ぴたりとの後ろを追って来たそうで…。

さて義弟ですが、見かけはなかなかの強面ではありましたが
中身は、喧嘩など一度もしたことがない優しい男でございました。

ここは逃げるが勝ちと、更に細い路地へと逃げ込んだそうですが
それでもそのダンプカー、クラクションを鳴らしながら、ボロ車を追いかけて来る始末。
背中から多量の汗が噴き出し、生きた心地がしなかったとか。

そして正面を見ると、なんとその先は行き止まり。
もはやこれまでと覚悟を決めて、車を止めた義弟。
当然ながらダンプも止まって、ダボシャツ姿のお兄さんが降りてきて
義弟の方へと向かって来たそうで…。

見かけ倒しの六十男に、かたや三十そこそこの威勢のよさそうなお兄さん。
どうみても勝ち目はありません。
それでも先手必勝と、義弟は車を降りるなり…

「な、なんやねん! なんか文句あるんかいッ!」

震える足を必死に堪えて、あらん限りの虚勢を張ったのだとか。

しかし、そんな言葉にはモノともせず、 一直線にこっちにやって来るお兄さん。
そして目の前に迫った彼に、殴られると思ったその時…。

彼はいきなり深々と頭を下げて…

「先生!お久しぶりです。その折は、ほんとにお世話になりました!」

義弟は、工業高校の教師だったのですが
そのダンプカーのお兄さん、義弟の教え子だった…というオチでございます。

ダンプを運転中、追い越した車の運転手が高校時代の恩師だと気づいた教え子、
狭い路地を追ってまで礼を言いにきたという、よき教師ぶりを兄に自慢したかった十八番。

とはいえ、何度聞いても、どんな世話をしたのか、はたまた教え子のことすら全く記憶にないようで
いつも話の終わりは、ダメ教師ぶりを曝すことになるのでございました。

この十八番、今日も天国で主人と酒を飲み交わしながら、披露していることでしょう。

「おーい、A子、酒持ってきてんかー!」

そんな主人の声がそろそろ聞こえてきそうですので、明日のふたりの命日には
一升瓶を抱えて、お墓参りにと決め込む婆ダムA子なのでございました。

「ソッチハ 天国(テンゴ)ッゴアンドガ イッペイ飲ンセェ、 
 二人トン マダマダ ヨカ天国(テンゴ)ッ イッタモンセ!」
  ( 訳:そちらは天国ですから、たくさん飲んで、二人とも もっともっといい天国へ昇ってくださいね。)

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もちろん墓参りに持参する酒は、カゴッマの芋焼酎でございます。


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